理事長挨拶

北海道医療大学薬学部 小島弘幸

2025年10月から日本免疫毒性学会の第7代理事長を拝命いたしました小島弘幸と申します。齋藤嘉朗 前理事長(国立医薬品食品衛生研究所 所長)の後任として、3年間を任期として務めさせていただくことになりました。大変身の引き締まる思いでございますが、副理事長に選任されました岐阜薬科大学の中西剛先生と共に尽力して参りますので、関係各位のご指導及びご支援をどうぞ宜しくお願い申し上げます。

本学会は、免疫機能を標的とした毒性学にかかわる研究者団体として活動しています。前身の免疫毒性研究会発足(1994年)から数えて31年が経ち、年会としては 2026年に第33回を開催することとなります。小職も発足と同時に会員となり、本学会の歴史とともに歩んでまいりました。ご存じのとおり、免疫系は多くの細胞や分子が関与する極めて複雑かつ精緻なシステムであり、またその毒性影響も機能の低下と亢進という両面がございます。さらに免疫系に影響を及ぼす物質としても、医薬品、食品成分、環境化学物質など多様です。本学会員の所属背景はアカデミア、企業及び行政と多彩であり、個々の専門も毒性影響の評価、毒性機序の解析、新しい評価法の開発、さらにはこれらの解析に基づく新たな免疫制御機構の解析等、幅広くなっています。 年1回開催される学術年会では、この分野を牽引する研究者は勿論のこと、 30〜40歳代前半の若手研究者が活発に研究発表・議論に参加し、将来の研究者 を目指す学生諸氏に対してもこの雰囲気を大いに感じ取ってもらっております。 様々な視点から議論を行うことで、いずれの参加者にも新しい発見があることが伝統となっており、ご興味のある先生方は、是非一度、年会にご参加ください。

米国毒性学会免疫毒性部会(SOT-ITSS)との交流も引き続き進められており、米国毒性学会と日本免疫毒性学会にて、毎年合同シンポジウムの企画・提案や研究者の派遣と招聘の交流を行っております。さらに、日本毒性学会とも連携を続けており、同学会の学術年会では隔年で合同シンポジウムを開催しております。

感染症(COVID-19 等)、医薬品・健康食品、有機フッ素化合物(PFAS)など、社会を取り巻く環境は日々変化しており、免疫系に及ぼす新たな課題が我々に降り注ぎます。今後3年間も、当学会が伝統とする種々の研究分野の相互作用に基づく免疫毒性研究のさらなる活性化を図り、これら社会的に要請のある課題についても積極的に関与・提案して参りたいと考えております。再度のお願いとなりますが、何卒、ご指導、ご支援を賜りたく、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

令和7年10月

過去の理事長挨拶